青天霹靂せいてんのへきれき 06

鏡に艶めかしい姿が映っている。
身を隠す物は何もなく、その白い肌は、私と繋がり、今は薄桃色に染まって私の腕の中で艶やかな声をあげていた。

鏡の上で重ねた手は、確かに仲達であると確信が出来る。
耳元で字を呼べば、ぞくっ、と仲達の体が震えた。








互いに一糸纏わぬ姿となり、確認をした。
これは私の知っている仲達なのか、と。

仲達自身にも確認させよう、と些細な思い付きで仲達を鏡の前に立たせた。

「何故、姿見の前に…など…」
「『姿見』そのままの意味だが?」
「なっ?!お戯れも程々に」
「お前に『戯れ』だと思って接した事など、一度とてないが」

姿見に映る整った顔が仄かに赤く染まった。
背中から仲達に触れ顔を寄せて口付ければ、吐息で姿見が曇った。

銀糸が伝う唇を離し、直に仲達自身に触れれば小さく声を洩らした。
僅かに反応し、堅くなった其れを扱いてやれば仲達は姿見に手をついて声を堪えた。

私にしか見せぬ姿。
そう思いたい。
いや、むしろ、そうでなければ赦さない。

元に戻った体は、やはり仲達そのものだった。

「…美しかった」
「は、い…?」
「髪はふわふわとしていて柔らかく、肌は餅肌というか何とも言えぬが。何より小さく可愛らしい」
「仰る意味が…」
「幼くした、仲達の話だ」
「っ…!」
「私の腰より低い背丈で見上げられるのは新鮮だった。何より」

仲達の体を愛撫しながら言葉を続けていくと、膝が震えているのが解る。
追撃を加えるかのように、指を濡らし仲達の中にゆっくりと埋め込むとくぐもった声が聞こえた。

「理不尽に小さな体にされたとて、第一に仲達が私を考えてくれていたことが何よりも嬉しかった」
「っく…、ふっ」
「褒美だ、仲達。何をされるか、解っているな?」

姿見についている仲達の片手を取り、私のに触れさせると仲達は苦々しく笑った。

「…確認、だ。仲達、己も解っていないだろう」
「何も、こんな…っぁ」
「よく見える」

姿見に映る姿はとても妖艶で、見せたくないと伏せる顔も姿見に映り見ることが出来た。

耳元で囁けば、ぞくっと震える。
首筋にそのまま舌を這わせ、痕をつけた。
指を増やし奥を突けば、艶やかな声をあげる。

仲達のを掴み、扱き上げれば甘く声を漏らす。
己の嬌声を仲達は嫌っているらしく、唇を噛むのが癖だ。

「止せ、傷がつく」
「っふ…ぁ?」
「私も辛い。噛んでも構わぬ」

後ろから口の中に指を入れ、そのまま仲達に当てがう。
姿見越しに顔を見れば、快楽でとろけていた。
其れを確認し、ふ、と笑い挿入していく。
その様子が姿見に映り、よく見えた。

其れに気付いているのか、仲達は目を閉じている。
くぐもった声が耳に届いた。

「…っ、ん…っ!」
「目を逸らすな、仲達」
「い、やです」
「ほら」

これみよがしに一度深く突き上げれば、姿見に手を突き甘い声が漏れた。

「ぃ、やです…っ子桓、さま」
「確認すると言っただろう?」
「そのよう、な意味合いでは…ぁ!」
「繋がっているのがよく見える…そのような細い体でよく受け入れる…なぁ、仲達?」
「…っ!」
「言葉で、感じるか仲達」

私の言葉ひとつひとつに仲達の体が反応しているのが解った。
顔には出さぬが、私もどこか嬉しい。

少々言葉で苛めたくなった。
折角、姿見の前にいるのだから言葉で快楽に誘うのも一興であろう。
扱いている仲達の其れも、張り詰めて限界が近いと見えた。

「お前に、ずっと伝えたい事があった」
「…?」
「今この状況で言ったら、お前はきっと怒るだろう。何より狡いか…今度また…改めて伝えたい」
「は、い」
「さて、仲達…」

漸く仲達の口から指を抜く。
唾液で濡れた指を舐めて、惚けた仲達の唇に己の唇を合わせた。
声が聞けなくなるのは残念ではあるが、そのまま姿見に押し付けるように深く深く突き上げた。

「ぁ…!」
「此処か」
「や、め…其処、ばかりは…」
「成る程…此処が良いのだな?」
「もっ、馬鹿…め、が…ぁ」
「そろそろ素直になったらどうだ、仲達」
「っ…子桓、様…も」
「ああ…そろそろ私も辛い」

仲達が鳴く箇所ばかりを突き上げ続け、仲達が果てるのを見届けた。
仲達に促されて私も中に注ぐ。

姿見が仲達の白濁に汚れた。
流石に立っているままは辛かったのか、膝が震えているのを見て繋がりを解き、その体を抱き上げて寝台に寝かせた。













己自身の白濁で汚れた姿見を見て羞恥心に苛まれる。
暫く鏡は絶対に見ない。

姿見に背を向けるために身を捩ると、股下から白濁が溢れて太腿を伝った。

「すまぬ。やりすぎた」
「…この…」

馬鹿めが、と言葉を続けようとしたが止めた。
ふ、と笑い目を閉じた。

変わらず、この方が無事に戻ってきただけよしと…するべきだろうか。
自分でも甘やかしているのではないかと思ってはいるのだが。

疲れて動けない体を抱き上げ、子桓様に後処理をされる。
私だけに向けられる眼差しとか、字を呼ぶ声色だとか。

全てが、『子桓様』に違いなかった。
体中をこの方に染められていく心地。





部屋を片付けられ、夜着に着替えさせられて、腕に抱かれ眠る。

手を重ねれば、私よりも少し大きい手。









やはり私はこの人が。
いや、この人でなければ…。

改めて絆されているのだと自覚し、目を閉じた。

額に唇を落とされたのを感じ、笑った。


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